関節痛の主な種類
関節痛は、炎症を伴うものと炎症を伴わないものと、2種類に大別されます。
炎症を伴う関節痛
怪我や疾患による関節痛の場合、炎症を伴うことがあります。炎症の主な兆候には以下の4つが挙げられます。
- 疼痛(とうつう)
- 発赤(ほっせき)
- 腫脹(しゅちょう)
- 熱感
関節痛に伴う炎症の症状としては、患部が疼くように痛み、関節周囲が赤く腫れて熱を伴うことが挙げられます。結果として、関節が動かしにくくなるなどの機能障害も特徴的です。
炎症を伴う場合、血液検査において白血球数の上昇が見られることがあります。炎症を放置すると、関節が損傷を受け、これが日常生活に影響を与える可能性があります。そのため、炎症の兆候が見られた場合は、当院までご相談ください。
炎症を伴わない関節痛
関節痛には、炎症のないケースも存在します。例えば、筋肉が硬直して骨を引っ張り、それによって痛みが生じたり、筋肉の緊張が神経を圧迫したりすることがあります。炎症の有無を確認する簡単な方法としては、入浴して湯船に浸かることです。入浴後に痛みが増す場合、関節に炎症が生じている可能性が高いです。逆に、入浴が快適であり、症状が軽減される場合、関節の痛みは筋肉の緊張が原因である可能性が高いです。 (関節リウマチによる朝のこわばりも入浴で軽快することが多いです)
関節痛の主な原因と症状
関節の痛みや腫れなどの症状がある方は、以下の疾患を疑ってみてください。以下は代表的な疾患名と症状です。
炎症を伴う場合
関節痛とともに腫れが認められる場合は、次の疾患が疑われます。
化膿性関節炎
化膿性関節炎は、細菌が何らかの原因で関節内に侵入し、感染を起こす疾患です。細菌による発症が一般的ですが、ウイルスや真菌(カビの一種)が原因となることもあります。 化膿性関節炎の代表的な原因菌は黄色ブドウ球菌です。透析治療中の方や免疫抑制剤を服用中の方など、免疫力が下がっている方は化膿性関節炎の発症リスクが高くなります。 化膿性関節炎は関節の痛みや発赤を伴う腫れだけでなく、発熱、食欲不振、悪寒、倦怠感などの全身症状も特徴です。
痛風・関節リウマチ
痛風は尿酸が体内で結晶化し、関節内組織を刺激することで引き起こされる炎症性の疾患です。「風が吹いても痛い」と形容されるほどの激しい痛みが特徴です。 関節リウマチでは体の左右両側に、同時に症状が出やすいのに対し、痛風では体の片側だけに症状が出ます。また、関節リウマチは女性に多く、痛風は男性に多く見られるという特徴があります。 痛風の発作は通常24時間ほどでピークに達し、歩行が難しくなるほどの激しい痛みが生じます。ただし、2週間ほど経過すると自然に症状が無くなることもよくあります。
炎症をともなわない場合
炎症を伴わない関節痛には大きく分けて2つのタイプがあります。
線維筋痛症
線維筋痛症は、中年期以降の女性に多く発症します。関節痛のほか、頭痛、強い疲労感、抑うつ感など、多様な症状を伴います。 線維筋痛症の特徴は、痛みが体の広範囲に現れる点です。患者様によっては、「ガラスの破片が体に入ってきたような鋭い痛み」と表現されます。 命を脅かすような疾患ではないものの、明確な原因がわからないため、長期にわたってお悩みの患者様も少なくありません。
変形性関節症
加齢や体重増加などによって、関節が痛んだり変形したりする疾患です。変形が起こる主な部位は、股関節、膝関節、指関節などです。 変形性関節症の中でも、最も多い疾患としては変形性膝関節症と変形性股関節症が挙げられます。中年期以降の女性に多く見られ、発症初期には関節がこわばる程度ですが、進行すると歩行障害になることもあります。
風邪やコロナで関節痛もあります
関節痛が発熱を伴う場合は、風邪である可能性もあります。また、関節以外に筋肉や喉の痛みもある場合は、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症を疑う必要も出てきます。 関節痛には整形外科を受診するのが一般的ですが、発熱や喉の痛みもある場合は、まず内科を受診してください。
関節痛の対処法
適度な運動
お風呂で温まって関節の痛みが和らいだら、血液の循環を促すために適度な運動をお勧めします。関節の柔軟性を高め、周囲の筋肉をしなやかに保つために、簡単なストレッチやヨガ、ウォーキングなどを行うと良いでしょう。
市販薬の服用
関節痛がひどい場合は、市販薬の服用も考慮します。関節痛には、ロキソプロフェンやイブプロフェンを含む内服薬がよく使われます。また、塗り薬や湿布などの外用薬も有効です。
患部に熱がある場合とない場合
関節痛の対処法は、熱感の有無によって異なります。
患部に熱感がある場合
打撲などで患部に熱感がある場合は、横になって関節を安定させるなど、関節を無理に動かさないよう工夫します。また、患部に熱がある場合は、すぐに冷やして痛みや腫れを抑えます。氷嚢などで患部を1時間に10分程度冷やして下さい。 患部を冷やしながら関節を心臓より高く上げるのも効果的です。関節の位置を心臓より高くすることで、患部に血液が流れにくくなり、腫れの悪化を食い止めます。
患部に熱感がない場合
患部に熱感がない場合は、患部を温めると効果的です。また、サポーターなどで患部を保護するのも良いでしょう。ケガによる炎症であっても、発症から48時間程度の時間が経ったら温める方法に切り替えて下さい。 患部に熱がなければ、過度な安静は避けて下さい。過度の安静は関節周囲の筋肉をこわばらせ、血行が悪くなると回復が遅くなってしまうこともあります。